今回はストリートメディカルラボ第6期修了生、JTB総合研究所でヘルスツーリズムを専門に研究している臼井 香苗さんにお話を伺いました。
ストリートメディカルラボを知ったきっかけ
――臼井さんのご経歴を教えてください。
私自身、受験のストレスから中学時代に拒食症を経験したことがあります。病院に通院していた時、通院先の先生がポロッと「自分も劣等感から死のうと思ったことがある」と話してくださったことがありました。その一言で初めて「私だけが一人が悩んでると思ったけど、他の人たちもそれぞれ悩んでるんだ」と気づき、やっと自分の周りの人に目が向くようになりました。そのことをきっかけに少しずつ気持ちが解けてゆき、ご飯が食べれるようになったことから、心の持ちよう一つでこんなにも変化が起こることが面白くて、心理学を学ぶことにしました。
もともと動物が大好きだったので、ドルフィンセラピーなどのアニマルセラピー、そして自然を療法として使うタラソセラピーの世界に身を置いてきました。沖縄でセラピーのセンターを立ち上げるなどの活動を経て、20年前にJTBグループに入り、今はヘルスツーリズムを専門に働いています。
――ストリートメディカルラボに参加することを決めた理由を教えてください。
個人的に、「旅」というのは健康や幸せの手段になるのではないかと考えているところがあります。いつもと違う環境に身を置いて新しい経験をすることは、心身ともに健康になったり、幸せを感じたりするのに非常に有効な手段だと思っています。
さらに、長年働く中で、自分の中にある知識やコネクションを使い切ってきた感覚があり、一度「学び直し」が必要だと感じていました。自然療法や旅とはまた違う、新しい目線で健康を考える視点が今の自分には必要だと考えていました。
イグ・ノーベル賞の受賞者として武部貴則先生を知ったことをきっかけに先生の活動を追うようになり、ストリートメディカルの存在を知りました。「これはまさに今、自分が学ばなければならないことだ」と直感的に感じ、エントリーを決めました。
ストリートメディカルラボ第6期の授業の感想
――実際に受講してみて、特に印象に残っている授業はありますか?
第12回の飯石藍先生の授業では、仕事に直結する学びを得ることができました。地域でヘルスツーリズムのコンテンツを作る際、その場所の文化や自然を「健康」という軸でリブランディングしていくのですが、飯石先生の池袋でのまちづくりのお話は、人の関わり方や課題解決の方法など、非常に学びになりました。
また、第14回の人類学者の比嘉夏子先生の講義も刺激的でした。AIが進化する時代だからこそ、まだ文字にもデータにもなっていない自分自身の関心や心の動きをありのままに観察し、抽出していく人類学的なアプローチは、社会にとって非常に重要なことだと再認識しました。
ストリートメディカルトークス(修了発表)を終えて
――トークスに向けたチーム活動はいかがでしたか?
社会人女性4人のチームでしたが、それぞれのバックグラウンドを持つメンバーと深く話すことはなかなかないので、ものすごく貴重な体験でした。 普段の仕事では、自治体などが出す発注書に基づき企画を立てることが多いのですが、今回はゼロベースで「何を作っていくのか」を考えるところから始まりました。最初は難しさもありましたが、全員が社会人ということもあって、それぞれの思いをうまく調整しながらバランスよく進められたのは、とても面白かったです。
もともとは「誰もが抱えている見えない健康課題に気づいてもらえるようなもの」を作りたい、というところからスタートしました。話し合ううちに「女性」と「旅」というテーマが見えてきました。形が見えてくるにつれて、「実際に実装してみたい、チャレンジしてみたい」という気持ちがより強くなっていました。
臼井さんのチームプロジェクト:「月の満ち欠け私のリズム〜女性のためのリトリート〜」
ストリートメディカルラボの受講を検討している方へ一言
――最後に、受講を迷っている方へメッセージをお願いします。
今の職場や業界の中にいるだけだと、どうしても「自分の中のバブル」に入ってしまいがちです。ストリートメディカルラボに入ることで、人類学など全く違う見地からの視点を得たり、今まで出会わなかった方々と深く語り合ったりすることができました。
思考の幅が広がることは、自分の仕事に戻ってきた時にとても重要な力になると感じています。もちろん大変なこともありますが、この講座の内容を見て少しでも「面白い」と思ったなら、絶対に参加してみて欲しいと思います。

