今回はストリートメディカルラボ第6期修了生、製薬会社で働く中村 有希さんにお話を伺いました。
ストリートメディカルラボを知ったきっかけ
――まずは、中村さんがストリートメディカルラボに興味を持った経緯を教えてください。
私は製薬会社で、医師が自信を持って処方したり、患者さんが安心して薬を使えたりするようにするためのデータソースを担う部署にいます。その中で患者さんの体験をベースに解決策を提示するデザインチームのプロジェクトに関わっていました。プロジェクトに関わる中で、データはもちろん大事なのですが、それだけでは解決できない問題もあると感じていました。患者さんの生活や、医療従事者との対話、家族との関係性など、生々しい生活の延長にある課題は、なかなかデータからは読み取ることができません。
また、前職は検査技師をしていましたが、職種の特性上、診断のところまでしか関わったことがありませんでした。診断後、患者さんがどのような治療や生活を歩んでいるのかを想像するのは難しく、もっと患者さんの生活や心の動きを知りたいと思うようになりました。課題やペインを解決する方法は、もしかしたら患者さんの認識・気持ちの中にあるのではないかと感じていたからです。患者さんの生活を知って共感できれば、新たなデータの活用方法も見えてくるのではないかと考えていました。
このような経験から医療とデザインを学びたいと思っていた時に、上司からストリートメディカルラボを紹介され、参加を決意しました。
ストリートメディカルラボ第6期の授業の感想
――実際に受講してみて、印象に残っている授業はありますか?
第10回の今井裕平先生の授業や第12回の飯石藍先生の授業など、医療とは異なる分野で活躍するクリエイターの方々の講義がすごく印象的でした。単に理論を学ぶだけでなく、先生方がどのように発想を転換させているのか、そのプロセス自体が大きな学びになりました。「この考えを医療現場にどう還元できるか」と考えながら授業を受けていました。
また、個人課題やグループワークを通じて、「最終的には人が発想しなければならない」ということを感じました。ブレインストーミングの段階で「理論から外れてるかも」「正しい意見を言わなければ」というような考えに囚われると、発想が貧しくなってしまいます。どれだけメソッドが頭に入っていても、最後にはその人の経験や得意なこと、好きなことから発想が生まれるのだと学びました。そのためにも、日頃から色々なものを吸収し、多くのことに触れる大切さを学びました。
ストリートメディカルトークス(修了発表)を終えて
――修了発表を迎えるまでのチーム活動はいかがでしたか?
自分たちで課題を設定するのが一番の難関でした。仕事では目の前にある問題をどう解決するかがメインなので、日常の中で当たり前と思っていることに対して、「もっとこうしたら良くなるのでは?」「これっておかしいかも?」と問いを立てる習慣がなかったからです。
アイデアを発想するフェーズでは、答えが出るまで苦しい時期もありましたが、自分が「これだ」と思えるところまで考え抜けたのは良かったです。チームの皆さんにも支えていただきました。
修了制作のテーマが、医療の課題として適切なのかどうかは悩みました。でも、個人的には後悔はないです。製薬会社にいると、どうしても特定の疾患に目が向きがちですが、このラボを通して「医療は病気の人だけのものではない」という視点を得られました。いわゆる健康な人が抱える悩みや、社会構造が生む不健康さなど、視野を大きく広げられたことは、自分にとって非常にポジティブな変化でした。
中村さんのチームプロジェクト:「Morning Hero Finder」
ストリートメディカルラボの受講を検討している方へ一言
――最後に、受講を迷っている方へメッセージをお願いします。
ストリートメディカルラボでの学びを通じて、発想の転換方法を知り、視野がすごく広がったなと思います。医療だけでなくデザインへの興味も深まりましたし、何より「病」だけでなく「人の生活」全体を捉える視点を持てるようになりました。
医療に興味がある人はもちろん、デザインに興味がある人にとっても、どちらか一方でも関心があるなら、必ずプラスになる発見があるはずです。自分の世界を広げたい方に、ぜひおすすめしたいです。

