ストリートメディカルラボ 社会実装事例

SAGA×WOMAN EXPO 2026 佐賀県ブースのマナプキン展示

Project Report — 2026.07.25 SAGA

マナプキンプロジェクト
SAGA×WOMAN EXPO 2026 実施報告

生理用ナプキンの個包装を媒体に、婦人科受診への心理的ハードルを下げる。佐賀県との共同事業として、2026年7月25日にSAGAアリーナで600個を配布しました。

マナプキンは、当校の第2期生チームが修了製作として立案した企画です。生理用ナプキンの個包装に4コマ漫画を印刷し、婦人科受診への心理的ハードルを下げることを目的としています。

今回の実施は、佐賀県の女性の健康課題に係る啓発事業の一環として、県と当校の共同で行われたものです。2026年3月に協議を開始し、約5か月の準備期間を経て、7月25日開催のSAGA×WOMAN EXPO 2026 佐賀県ブースにて600個を配布しました。

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実施に至る経緯

当校には、佐賀大学医学部附属病院の医師・井上香さん(5期)と、保健師の伊藤加苗さん(6期)が受講生として参加していました。2026年2月、井上さんが関わる佐賀県内の肝炎医療コーディネーターの集まりで、当校理事長の沼田努が講演を行いました。

この講演をきっかけに、伊藤さんを通じて佐賀県 男女参画・女性の活躍推進課へマナプキンの企画が紹介されます。3月から協議を開始し、企画の趣旨がSAGA×WOMAN EXPO 2026と合致することから、同EXPOの佐賀県ブースでの実施が決まりました。

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背景と目的

生理痛やPMS(月経前症候群)などの症状に悩みながらも、医療機関の受診に至らない女性は少なくありません。婦人科は「妊娠してから行くところ」「大げさかな」「恥ずかしい」と受け止められやすく、この意識が症状の放置や発見の遅れにつながります。

佐賀県は本プロジェクトの目的を、婦人科受診への心理的ハードルを下げ、自身の健康について気軽に相談・受診してよいという認識を広げることと位置づけ、県内の産婦人科医等の協力を得ながら取り組むものとしています。

ブースに掲示したマナプキンのパネル
ブースに掲示したパネル。プロジェクトの目的を来場者向けに説明しています。

マナプキンは、生理用ナプキンという日常的に使われる製品の個包装を情報媒体として用います。体調の変化を自覚するタイミングで情報に触れられるため、受診行動への接続が期待できるという想定に基づく設計です。

誰かに話すほどじゃない…と、ずっとひとりで抱えてきたこと ありませんか?

自分の体のことを知ることは、きっと、自分の人生の選択肢を増やすこと。

我慢しないで。あなたの声を聞いてくれる先生がいます。

──ブース掲示パネルより

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個包装の設計

個包装の裏面に印刷した4コマ漫画
個包装の裏面。ひらくと4コマ漫画が現れる構成としました。

個包装の裏面には、4コマ漫画「マナプキン story ① はじめての産婦人科」を印刷しました。生理痛に悩む女性が受診をためらいながらも産婦人科を訪れ、医師から「生理が辛いのは対処できること」と説明を受けて安心するまでを4コマで構成しています。

結びには「不安に思ったら、それだけで行く理由になる」というメッセージを配置。4コマの下部には、佐賀県内の産婦人科の医師からのメッセージを掲載しました。

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同封チラシと医療機関一覧

本プロジェクトは、佐賀県医師会、佐賀産科婦人科学会、佐賀県産婦人科医会の後援を受けて実施しました。

制作にあたっては、佐賀県内の産婦人科の先生方にご協力をいただきました。4コマ漫画に登場する医師の言葉や、チラシに掲載したメッセージは、日々診療にあたる先生方の視点をもとに作成しています。

配布したマナプキンと同封チラシ
配布物一式。個包装とB5チラシをセットで手渡しました。

同封したB5チラシの裏面には、佐賀県内の婦人科24院の一覧を掲載しています。受診の意思が生じても受診先の情報がなければ行動には至らないため、個包装が「気づき」を、チラシが「受診先の情報」を担う二段構成としました。

同封チラシの裏面に掲載した佐賀県内の婦人科一覧
チラシ裏面。県内の婦人科24院を地域ごとに掲載しました。

チラシは個包装を使用した後も手元に残るため、時間差での受診行動にも対応します。

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当日の実施状況

SAGA×WOMAN EXPO 2026は、佐賀県が日本経済新聞社および日経BPとの共催で開催したイベントです。「佐賀から始まる、新しいワタシ。」をコンセプトに、SAGAアリーナ1階メインアリーナで10時から17時30分まで実施され、3,000人を超える来場がありました。

来場者がマナプキンを手に取るようす
受け取った場で個包装をひらいて内容を確認する来場者。

用意した600個は当日中に配布を完了しました。受け取り手は当事者本人に限らず、子ども連れの来場者や保護者世代も含まれ、年代に幅がありました。

ブースで来場者に説明するスタッフ
一人ずつ手渡しし、内容を口頭で説明しました。

配布方法は、陳列して自由に取っていただく形式ではなく、スタッフが個包装をひらいて漫画を見せながら手渡す形式としました。内容の理解を伴った受け取りを優先したためです。

ブースで来場者と話すスタッフ
ブースでは来場者との会話が随所で生まれました。

ブースでは、佐賀県こども家庭課の担当職員2名の参加のもと、県が進めるプレコンセプションケアの紹介もあわせて行いました。プレコンセプションケアとは、性別を問わず、適切な時期に性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザインや将来の健康を考えて健康管理を行うことを指します。関連するチラシも配布物に同封しました。

佐賀県より

徳山 紗英子

佐賀県 男女参画・女性の活躍推進課

【コメント】

制作メンバーのコメント

鮒池 香奈枝

一般財団法人 日本予防医学協会/SML2期・発起人

私がStreet Medicalに出会って、修了制作として仲間たちと考えたアイデアが、ついに形になりました。賛同し連携してくださった皆さんに感謝します。今回、企画の趣旨を説明しながらイベント来場者へマナプキンを手渡したことで、婦人科受診のハードルが依然高いことを再認識しました。今後も引き続き、生理用品をタッチポイントとした婦人科への受診勧奨を進めていきたいと思います。

佐久間 美季

SML5期・コンテンツ

コンテンツの作成にあたり、私自身が婦人科に初めて行った時、何か見つかったらどうしよう、どんな検査をされるんだろうとすごく怖かったことを思い出しながら考えました。怖いから行きたくないと避けてしまう人や、辛さをずっと我慢してしまう人がいなくなるように、そっと背中を押せるようなメッセージを意識して作成しています。今回のプロジェクトを通じて、「悩みを婦人科で相談してみようかな」と思う人が少しでも増えたら嬉しいです。

岡崎 綾香

絵本作家/SML6期・漫画・イラスト

Street Medicalを機に、様々な方との出会いがあり、マナプキンという形にできたことが嬉しいです。今回イラストを担当しましたが、どの方にも優しく寄り添えるマナプキンになったらと思い描きました。どこかで誰かのきっかけや、気付きに貢献できたのなら幸いです。

増谷 誠志郎

デザイナー/SML6期・デザイン

男性である私にとって、生理用ナプキンは日常的に使用するものではありません。だからこそ、自分の先入観でデザインするのではなく、企画メンバーの声や漫画に込められた思いを丁寧に受け取り、必要な人へきちんと届く形に整えることを意識しました。啓発としての信頼感と、思わず手に取って読みたくなる親しみやすさを両立させ、手に取ってくれた方が自身と向き合う小さなきっかけになれば幸いです。

伊藤 加苗

保健師 佐賀大学医学部附属病院/SML6期

高齢の方はお孫さんへ、更年期世代の方は娘や姪へ、そして10〜30代の方は自分ごととして受け取ってくださり、どの年代の女性も足を止めて手に取ってくださったことがとても印象的でした。手渡しでお渡しすることでコンセプトを丁寧にお伝えでき、また柔らかいタッチのイラストや漫画が目を引いたことで、県のイベントの雰囲気とも相まってメッセージがしっかり届いたと感じました。

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実施体制

当日ブースに立ったメンバー
当日のブースメンバー。2期・5期・6期の修了生と、佐賀県こども家庭課の2名が参加しました。

企画の発起人は2期生の鮒池香奈枝さん。コンテンツは5期生の佐久間美季さん、漫画・イラストは6期生の岡崎綾香さん(絵本作家)、デザイン全般は同じく6期生でデザイナーの増谷誠志郎さんが担当しました。当日のブース運営には、佐賀大学医学部附属病院の医師で5期生の古賀大介さんと、保健師の伊藤加苗さんが参加しています。

修了年次の異なる受講生が職能を持ち寄り、企画立案から制作・現地運営までを分担する体制で実施しました。

なお、実施のきっかけとなった講演に関わった井上香さんを含め、古賀大介さん、伊藤加苗さんの3名はいずれも佐賀大学医学部附属病院に所属しています。同院から複数の受講生が当校に参加していたことが、今回の佐賀県での実施につながりました。

プロジェクト名 マナプキンプロジェクト
実施主体 佐賀県、ストリートメディカルラボ
実施日 2026年7月25日(土)
会場 SAGAアリーナ(SAGA×WOMAN EXPO 2026 佐賀県ブース)
配布数 600個(当日完配)
配布物 マナプキン個包装、B5チラシ、佐賀県プレコンセプションケアチラシ
準備期間 2026年3月〜7月(約5か月)
後援 佐賀県医師会/佐賀産科婦人科学会/佐賀県産婦人科医会
制作 ストリートメディカルラボ修了生(2期・5期・6期)
運営 株式会社Look at People