1DAY特別授業&チームワークセッション|武部貴則先生、西井正造先生|SML第17回授業レポート

1DAY特別授業&チームワークセッション|武部貴則先生、西井正造先生|SML第17回授業レポート

2025年9月13日、第17回目の授業は、午前中に講義、午後に修了制作のチームワークセッションを行う2部構成で、1DAY特別授業として開催されました。前半の講義は当ラボ理事の西井正造先生、後半のチームワークセッションは当ラボ学長の武部貴則先生をはじめ、特別ゲストをお迎えしました。

講義「Street Medicalの基本」

前半の講義では、西井先生より「Street Medicalの基本」についてお話しいただきました。まず、日本と世界の医療の違いや、薬機法・景品表示法による表現上の制約、医療機器の承認方法について解説いただきました。

特に法律に関わる表現はストリートメディカルとも密接に関連しています。過去にストリートメディカルで発案された「アラートパンツ」も、当初は「メタボパンツ」という商品名でしたが、「メタボ」という表現が薬機法違反に該当する可能性があるため名称を変更した事例が紹介されました。

革新的なアイデアを社会に届けるためには、ルールを理解した上でプロジェクトを進めることが社会的信用のために重要であると改めて感じました。修了制作に取り組む受講生にとっても学びの多い内容だったのではないかと思います。


Street Medical的アイデア・企画の発想法

講義の後半では、Street Medical的なアイデア発想法についてお話しいただきました。当ラボでは、医師や患者へのヒアリングを通して課題を抽出し、プロジェクトを進めていきます。西井先生は、人々の声は「目的・状況・方法」が混ざったストーリーとして語られることが多く、それを分解・整理することで新たな課題を見出せると述べられました。この3要素が合致するアイデアが価値を生み出すのだそうです。

さらに「武部的発想法」もご紹介いただきました。武部先生は「これまで結びつけたことのない要素を組み合わせること」や「俯瞰した視点」をもとに多様なアイデアを生み出しているのだそうです。特に、コンテキスト(状況や物質)とテキストを分離して考える力に長けており、それぞれを柔軟に組み合わせることができるために応用力が高いのではないかと分析されていました。

これまで多くのプロジェクトを共にされてきた西井先生だからこそ語れる視点は、とても興味深いものでした。

チームワークセッション

午後のチームワークセッションでは、受講生が取り組んでいる修了制作の中間発表会が行われました。現時点での方向性やアイデアを武部貴則先生をはじめとする特別ゲストに発表し、フィードバックをいただきました。


修了制作のテーマ課題は、ALS患者のACP(人生会議)、医学生のメンタルヘルス、ペットと介護の課題、心のケアを小説化する仕組み、生活リズムを整えるコミュニティづくり、環境と健康を両立する食品の開発など、多岐にわたりました。武部先生やゲストからのフィードバックを受け、各チームがアイデアをさらに磨き上げる貴重な機会となりました。

今回の授業を通して、多様なテーマに挑むチームの様子を伺うことができました。手探りで課題に取り組む受講生にとって、今回のフィードバックは大きな力になったと感じます。修了制作発表会(Street Medical Talks 2025)に向け、どんな形でブラッシュアップされるのか今から楽しみです。