2025年9月6日の第16回目の授業では、理事長の沼田先生による「価値定義ワークショップ」を行いました。今回の授業では、プロジェクトの価値をどのように定義し、対象にとって意味のある変化を生み出すかについて学び、企画や活動を深めるための実践的なフレームワークを行いました。
講義「価値定義とは」
授業の冒頭では、価値定義についてのお話がありました。沼田先生は、「価値」とは、「誰かに新たな変化をもたらすこと」と定義されていました。ここでいう変化には大きく三つのパターンがあります。
第一は「行動の変化」であり、例えば一歩踏み出す、継続して習慣化する、コミュニケーションを始めるといった行為の変化です。第二は「考え方の変化」で、視点や価値観が広がり、これまでと違った意義づけができるようになることです。そして第三は「気持ちの変化」で、不安が軽くなったり、自信が持てたり、楽しみに感じられるようになることです。
企画や活動を考える上で、対象者にとっての価値を明確に定義することで意思決定がしやすくなると感じました。さらに、変化のさまざまなパターンに意識的になることで、より戦略的にプロジェクトを進められるのではないかと思います。
個人ワーク「価値定義ワークシート」
前半の価値定義をもとに、受講生一人ひとりが「価値定義ワークシート」に取り組みました。ワークシートには以下の項目が設定されており、それぞれに何が当てはまるかを考えました。
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企画・活動のテーマ
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対象(誰に)
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主体(誰が担うか)
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ペイン(課題)
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起こしたい未来の変化
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方法(どうやって実現するか)
これらを記入した後、次の4つの観点から五段階評価を行いました。①「ハッピー&ヘルシー」では、楽しさが先立ち、健康が続いていく仕組みになっているかどうか。②「独自性」では、その企画ならではの特別さがあるかどうか。③「社会性」では、必要としてくれる人や団体のニーズに応えているかどうか。④「拡張持続性」では、一過性ではなく、広く社会や企業と継続できる可能性があるかどうかを検討しました。
この評価を通じ、自らの企画を客観的に見直す機会となり、単に自分たちが「やりたいこと」ではなく「他者にとって価値のあること」を基準に考える方法を学びました。
グループワーク「ペイシェントジャーニー」
さらに授業後半では、前回の授業で作成したペイシェントジャーニーマップを活用したグループワークを行いました。三人一組で対象者・作成者・観察者に役割を分け、患者としての経験を共有しながらペインポイントを発見し、それに対する解決案を考えました。
ジャーニーマップをもとに対象者の具体的な体験を聞き取り、作成者が課題を描き出し、観察者が解決策を評価するという循環を繰り返すことで、視点を入れ替えながらそれぞれの体験を多角的に捉えることができました。
今回の授業を通じて、課題を発見して解決するだけでなく、いかに対象者にとって価値のあるものにし、社会に実装していくかという視点の重要性を学びました。また、価値定義ワークシートの中の「主体」や「方法」などの視点も交えてアイデアを考えることで、より社会実装に近づいていくと感じました。現在修了制作に取り組んでいる受講生にとっても、多くの学びがある内容だったと思います。

