第3回授業レポート 西井正造理事 「ストリートメディカル」な街作り

第3回授業レポート 西井正造理事 「ストリートメディカル」な街作り

025年5月17日、第6期3回目の授業が開催されました。今回のテーマは、「ストリートメディカルな街作り」。横浜市立大学先端医科学研究センターコミュニケーション・デザイン・センター(YCU-CDC)助教であり、当ラボの理事を務める西井正造先生にお越しいただきました。

講義 「ストリートメディカルな街づくり」

講義の前半では、西井先生のこれまでのご経歴とあわせて、YCU-CDCの発足経緯、ストリートメディカルのコンセプトやそのアプローチ手法、さらにこれまでに行われた具体的な事例についてご説明いただきました。

ストリートメディカルのコンセプトの一つに、「ハピネスドリブン・アプローチ」があります。これは、Health(健康)だけでなく、Happiness(幸福)も同時に追求することにより、人々のウェルビーイングを高めようというアプローチです。
また、既存の空間やモノ、環境を「Unhappy & Unhealthy」な状態から、「Happy & Healthy」な理想的な状態へ変化させる要素のことを、「イネーブリング・ファクター」と定義しています。この要素が埋め込まれ、すべての人が心も体も健康で暮らせる新しい街を「イネーブリング・シティ」と呼びます。

西井先生がこれまでに行なったイネーブリング・シティに関する調査や、愛知県蒲郡市でのプロジェクトについてもご紹介いただきました。イネーブリング・シティを作るためのイネーブリング・シティウォークという取り組みでは、地域住民や学生、地元企業などと連携し、街の中に存在するイネーブリング・ファクターを探索しています。この取り組みでは、都市ごとの特徴や、年代によって異なる「Happpy & Healthy」と感じる要素の違いがわかるそうです。さらに、要素がある高さによる傾向や、自然の中にもHappyになる要素とUnhappyになる要素が存在することなど、さまざまな興味深い発見があったそうです。

学生からは、医療は単なる治療行為ではなく、人々の豊かな人生に寄り添う存在へと変わっていくという考え方や、HappyとHealthyという視点で街をみるという視点に納得したという声が多く挙がっていました。医療が病院だけにとどまらず、街へひろがってゆくストリートメディカルな事例を学び、「医療 x デザイン」の領域が秘める可能性を感じました。

ワークショップ「利用者がウェルビーイングに導かれるトイレを創ろう」

後半のワークショップでは、「利用者がウェルビーイングに導かれるトイレ」の設計アイデアを考えました。愛知県蒲郡市市役所の2階にあるトイレの改修を手がけることになったと仮定し、①聴覚、②視覚、③嗅覚の3つの観点からアプローチを検討しました。また、街中の公共トイレにも応用するため、比較的低コストで実現可能なアイデアであることが求められました。

各チームからは、蒲郡市の名産である三河木綿や神社仏閣、花などをモチーフにしたトイレの提案や、トイレの近くに子育て支援課があることを踏まえ、子どもが自由に落書きできる壁を備えたトイレのアイディアなど、さまざまな案が発表されました。
今回の授業では、HealthとHappinessの両面から人々のウェルビーイングを追求する「ストリートメディカル」の意義を理解することができました。従来の「治療」の枠組みを超え、日常の生活の中で自然と健康になる要素を埋め込むという発想は、まさにこれからの社会に求められる新たな価値観であると感じました。また、ワークショップではより具体的にアイデアを考えることができ、ストリートメディカルラボが目指すものへの理解が深まったことと思います。