第5期 第9回目授業 クリエイティブディレクターコピーライター下東史明さん 

第5期 第9回目授業 クリエイティブディレクターコピーライター下東史明さん 

2024年9月13日(金)

第5期ストリートメディカルラボ 第9回 講義

テーマ:言葉が上手くなる超簡単なテクニック

講師:下東 史明先生

(株)博報堂 クリエイティブディレクター/コピーライター

1981年生。2004年東京大学法学部卒業後、同年(株)博報堂入社。現在、クリエイティブ局所属。主な仕事に、MINTIA「俺は持ってる」、イエローハットTVCM、日経電子版「365日分の差は大きい」、富士通FMV「神パソコン」、2ndSTREET「セカストする?」、花王「ホント毎日マジ助かる」、花王「クイックルで良くない?」、1本満足バー、NewManualコピーディレクションなど。著書に『あたまの地図帳』(朝日出版社)。TCC審査委員長賞・新人賞・ファイナリスト、新聞広告朝日賞、交通広告グランプリ、日経広告賞、ヤングカンヌ日本代表、日経広告賞など受賞多数。

以下本文


 

 

第9回目の授業には、博報堂のクリエイティブディレクターでありコピーライターの下東先生にお越しいただきました。今回は、普段はなかなか意識しない言葉の使い方について学び・鍛える、大人の国語の授業でした。

コピーとは

授業では、言葉の使い方や表現方法が、受け手に与える印象をどれほど左右するかについて学びました。例えば、「このサウナはとても気持ちいい」「このサウナはストレスがなくなります」「ああ、このサウナはストレスが溶けていく」といった表現の違いを通じ、意味が同じでも言葉次第で受け手の感じ方が大きく変わることを学びました。
また、「企業がアピールしたいこと」と「消費者が『いいかも!』と思うこと」が重なる部分を言葉で的確に表現することが、良いコピーの本質であるという説明がありました。数字、タイミング、エビデンスといった要素を使うテクニックもご紹介いただきました。
「何を伝えるか?」はマーケティングの手法で見つけることができますが、「どう伝えるか?」という表現方法こそが、個性が発揮されるクリエイティブな部分だというお話がとても印象的でした。

さまざまなエクササイズ

また、言葉を鍛えるためのエクササイズも行いました。主語を変えて表現を考える練習や、「世界」と「社会」という2つの言葉の意味の違いを考える練習、「休日」を様々な言い回しで言い換える練習、新しいスマートフォンのカメラ性能をアピールするコピーを考える練習など、多岐にわたる内容でした。

これらのエクササイズを通して、日本語には漢字、かな、カナ、英語といった多様な表記法があることを改めて実感しました。そして、言葉の意味の微妙な違いに対して意識的になることで、より洗練された受け手に刺さるコピーが作れるようになると感じました。

言葉に対する知性を自分なりに深める

言葉には、単なる記号としての機能と、深い意味を持つ機能があるというお話がありました。この二面性を理解し、意識的に使い分けることが重要だそうです。特に記号としての言葉は、情報量を多く含むため、共通の文脈を持つ受け手に効果的に伝わりますが、言葉の意味の違いを意識せずに使うと内容の薄いコピーになってしまうことがあるそうです。自分なりに言葉に対する解像度を上げ、語彙を増やすことが大切だとお話されていました。短い文章だからこそ、一文字一文字にまで意識を向けることで、より効果的なコピーを作れるということを学びました。

ラスト・エクササイズ「ストリートメディカルのコピーを考える」

最後に「ストリートメディカルのコピーを考える」というエクササイズを行いました。生徒は授業内容を踏まえ、さまざまな案を考えました。医療、デザインなど複数の側面がある「ストリートメディカル」のどこに注目し、どの言葉を使って表すかという点において、十人十色のさまざまな案が出ました。下東先生がおっしゃった自分なりのコンテキストを探すこと、それぞれのコンテキストの捉え方の違いがワーディングの個性に繋がるということを実感しました。

 

授業を通して、言葉の力とその選び方の重要性を学びました。ストリートメディカルはまだまだ未開拓だからこそ、「どう伝えるか?」がより求められる領域だと感じます。伝えたいことを伝えるだけでなく、「どう伝えるか?」を考え、言葉の意味や文脈、一文字一文字にまでこだわり、オリジナリティを出していくことが必要であると学びました。

 

テキスト by 佐久間美季