第5回 沼田努 理事長 ワークショップ

第5回 沼田努 理事長 ワークショップ

2024年8月9日(金)

第5期ストリートメディカルラボ 第5回

ストリートメディカルワークショップ

 

以下本文


 

 

今回の講義は、沼田理事長によるワークショップ回でした。個人ワークが2つ、グループワークが2つの計4つのワークショップが行われました。これまでの講義内容を踏まえ、優れた企画アイデアをだす練習のためのワークショップです。優れた企画アイデアとは、独自性と実現性が兼ね備わったもののことです。対象者の行動を分析・分解する事実確認や、すでにあるアイデアの一部を変えたり、新たな要素を加えたり、掛け合わせたりする再構築の思考プロセスを練習しました。来月初旬には個人課題の提出があり、普段からアイデアを出す練習を行なっている生徒もいたため、短い時間の中でも充実したさまざまなアイデアがでました。

ワークショップ1「既存のアイデアを掛け合わせて、今までにない職業や仕事を考えよう。」

まず、個人で行うワークショップを行いました。既存の職業・仕事の役割や行動を分析・分解し、それを掛け合わせ、新たな職業や仕事を考えるというものです。生徒からは、考古学者とデザイナーを掛け合わせた考古学デザイナー、警察官が芸能事務所にスカウトをするスカウト警察などさまざまなアイデアが出ました。

このワークショップを通し、既存の職業の特徴や性質を観察、分解し、他の職業の性質と掛け合わせてアイデアを生む練習をすることができました。

ワークショップ2「自分にとって一番嫌いなものを好きなモノやコトにしてみよう。」

2つ目のワークショップは、自分にとって一番嫌いなものを考え、それを好きなモノやコトにするアイデアを考えるというものです。満員電車が嫌いという人からは乗ったらお金がもらえる電車、掃除が苦手という人からはもともと散らかったデザインの部屋、タバコの匂いが嫌いという人からはお香の香りがするタバコなど様々なアイデアが出ました。

このワークショップで自分の嫌いなものを考え、それがなぜ嫌いなのか?その嫌いな理由を反転させるにはどうしたらいいか?という思考のトレーニングをすることができました。課題解決にとって重要なプロセスだと感じました。

ワークショップ3「”人を見る” 個性を表現するオリジナルポスターを作ろう。」

3つ目のワークショップからはグループで取り組みました。各チームのメンバーのうち一人をクライアント役とし、他のメンバーがそのクライアントの特徴や個性をビジュアル、タイトル、キャッチコピーで表現するというワークショップです。選挙ポスター風のキャッチコピー、雑誌の表紙風のビジュアルなどさまざまな表現方法がありました。

このワークショップを通し、ストリートメディカルの重要な要素である「人をみる」練習をすることができました。相手の様子を観察するという意味だけでなく、質問を通して相手の内面を引き出す、積極的に理解しようとするプロセスを学びました。積極的に自分のことをオープンに語る人もいれば、質問をしても簡潔な答えが返ってくる人など様々な人がいる中で、相手を理解するという面白さや難しさを感じました。

ワークショップ4「”行動を促す” 熱中症の予防対策を考えてみよう。」

最後に、熱中症の予防対策案を考えるワークショップを行いました。チームの中で対象者を一人決め、その人の1日の行動を詳細にヒアリングし、熱中症になるリスクのある行動を発見し、それに対する解決案を考えるというものです。長時間楽器を吹き、水分補給をするタイミングを忘れてしまう人に対し、楽譜に給水するタイミングを記載する「給水符」、水分補給をすることを忘れてしまう広報課で働いている人に対し「企業ロゴと時間ごとに飲む水の量のメモリが入っている水筒」、夜帰宅してエアコンをつけないまま寝落ちしてしまう人に対し「ふとんに乗るとエアコンのスイッチが入るシステム」などさまざまなアイデアが生まれました。

このワークショップを通し、対象者を観察し、それぞれの課題とその解決策を考える過程を学ぶことができました。観察対象者となる人が違うことで生まれるアイデアが全く違うものになるということが面白かったです。

 

 

今回のワークショップでは、短時間でチームでアイデアを出し合い、それをまとめて形にするというプロセスが特に難しかったです。佐藤先生が以前の講義でアイデアが多くてまとまらない、良いものにならないのは、人間同士の忖度がそこに介在しているからだと言っていましたが、今後個人課題の後グループワークを進めていく中でチームメンバーとの信頼感やフラットにアイデアを出し合える関係性をつくっていくことの大切さを感じました。

 

 

テキスト by 佐久間美季