2024年7月12日(金)
第5期ストリートメディカルラボ 第1回 講義&オリエンテーション
テーマ:デザインと医療からみたストリートメディカル
講師プロフィール:
ストリートメディカル理事長 沼田努
ストリートメディカル理事 西井正造
今回は記念すべきストリートメディカルラボ第1回の授業でした。今回のテーマは「デザインと医療からみたストリートメディカル」。本ラボの理事長の沼田先生と理事の西井先生からの講義が行われました。
第1部:講義「ストリートメディカルとは?」西井正造先生
西川先生の講義では、西川先生のこれまでのご経歴と医療分野に関わることになったきっかけ、そしてストリートメディカルの根幹となる考え方やこれまでのプロジェクトの例をご紹介いただきました。
ウェル・ビーイングには人の幸せ(ハピネス)からみる軸と健康(ヘルス)からみる軸があり、主体的に自分の幸せを求めての行動変容を促す要因は「ハピネス・ドリブン」、客観的な健康状態の改善や治療のためにする行動要因は「ヘルス・ドリブン」とそれぞれ定義されています。
そして、この行動のきっかけを「イネーブリング・ファクター」とよび、これまでに西川先生が行われたハピネス・ドリブンのイネーブリング・ファクターを増やす取り組みについて、愛知県蒲郡市との大規模実証実験などの例を挙げて解説いただきました。
定義が難しく、人によって認識が異なる「幸せ」の視点から行動変容を促す方法について、とても興味深くお話を聞くことができました。ハピネス・ドリブンのイネーブリング・ファクターを探るには、人の行動を観察したり、行動のデータを集めることはもちろん、チームメンバーの好き・楽しいという感情を尊重することが良いアイデアを生むきっかけになるのではないかと感じました。
第2部:講義「デザインとその歴史」沼田先生
沼田先生の講義では、デザインの定義と起源、歴史をテーマにお話しいただきました。
デザインの歴史については、1880年のアーツ&クラフト運動、アールヌーボー・アールデコなどの美術様式や、1900年前半のドイツとアメリカのデザイン、2000年代から主流になったインターネットやテクノロジー、ビジネスや社会貢献と組み合わさったデザインまで幅広く学びました。
アールヌーボーとアールデコの建築デザインを当てるクイズは学生から特に好評でした。
デザインの歴史を学ぶことによって、デザインはいつも人間や社会の変化、課題感を解決するために生み出され、多様に変化し、拡張を続けていることがわかりました。
また、デザインとアートの違いを初めて意識したという学生さんもいました。クライアントがなく、アーティストの自己表現や問題提起の側面が強いアートと、クライアントがあり、問題解決を目的とするデザインとの違いを意識して今後のストリートメディカルの講義を受けることはとても大切なことではないかと感じました。
なぜ今「医療 x デザイン」に取り組むのか。医療従事者や患者をクライアントとして、その課題解決を行うことが求められていると感じます。デザイン史を通してその全体像を掴むことで「医療 x デザイン」の必要性や位置付けを再認識し、広い視野をもって今後の講義を受けることができるのではないかと感じました。
テキスト by 佐久間美季