小野薬品工業さま 研修レポート

【SML法人研修 実績掲載概要(草案)】


◆想定掲載文(HP/広報)案:

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ストリートメディカルラボ研修が小野薬品工業さまにて2025年1月28日から6月28日まで半年に渡って計6回の研修が行われました。

今回の研修先である小野薬品工業株式会社は、社是に「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」を掲げ、革新的な医薬品開発に取り組み続けてきた企業です。イノベーション推進部門としてOIP課・BX事業室を有し、社内外連携による新規事業創出を推進。近年では、がん患者の就労支援プロジェクト「HOPE」がグッドデザイン賞を受賞するなど、医療の枠を超えた社会的価値の創造にも積極的に取り組んでいます。

そんな小野薬品さまが、ストリートメディカルラボの「病をみずして、ひとをみる」という視座や、医療・デザインの両領域で活躍する講師陣の専門性、そして社会実装を前提としたラボの取り組みに共感し、社内の挑戦風土を育む一環として、本研修の実施に至りました。


内容

研修内:講義ワークショップ 個人企画・発表 チーム企画・発表 

研修外:slack内交流(偏愛マップ)など 個人ブラッシュアップマンツーマン チームMTG帯同

プロトタイプ作成フローチャート


以下に研修のレポートを掲載しました。


DAY1   2025年1月28日 沼田努(ストリートメディカル理事長)

講師紹介:バウハウスの理念を起点に、現代のデザイン思考を横断的に解説しながら「問いを立てる力」を重視する講義を展開。

講義テーマ:「デザインとは? 歴史からデザインの本質を捉える」

デザインの起源からバウハウスの誕生、そして現代のデザイン思考へと至る流れを辿りながら、デザインが社会とどの様に関わってきたのかを解説しました。

デザインが色や形にとどまらず、人々の生活の価値を上げていくことにその本質があり、またそれを担うのはデザイナーだけでなく、生活者すべてがデザインに関わる重要性を語りました。

ワークショップテーマ:「デザインアプローチによる行動変容」

自分自身の行動や習慣を起点に、ポジティブな変化を促す仕組みを発想。「五感」「遊び心」「習慣化」などをキーワードに、日常生活に根ざした創造的な提案が生まれました。チームごとに企画をプレゼンテーション。受講者同士や講師との対話を通じて、実現性や社会的意義を磨き上げました。


DAY2   2025年2月19日 ショーン・マッケルベイ(デザインストラデジスト)

講師紹介:ソフトバンクのロボット「Pepper」開発などを手がけるデザインストラテジスト。多領域にわたる経験をもとに、観察と再構成の力を重視。

講義テーマ:「自己を対象としたデザイン思考の共感フェーズについて」

「誰かの変化を生みだすには、まず自分を観察しましょう」と語り、自分自身の矛盾や行動パターンに注目することの重要性を強調。「NO禁止」「仮説より発見」など、柔軟な視点と対話を重視する姿勢が共有されました。

ワークショップテーマ:「自分ごとからの課題構造化」

参加者は「自己が取り組みたい課題をハッピー&ヘルシー」をテーマに、自身や他者の困りごとをMiroで構造化。日常行動の観察から未解決の問題を掘り出し、「誰に、なぜ届けたいのか」を具体化するプロセスを学びました。


DAY3   2025年3月19日 個人企画発表と講評(武部貴則・井上祥)

テーマ:「私がヘルシー&ハッピーで解決したいこと」

参加者20名が、自身の課題を起点に個人企画を立案・発表。スマホ依存、服薬支援、入院する子どもへのケアなど、生活実感に根差したテーマが並びました。DAY2までの観察・構造化のプロセスを経て、言語化と提案までを実践。

講評・フィードバック:

武部貴則「一見小さな課題こそ、最も多くの人に届く可能性がある」

井上祥「他者の視点を借りることで、自分のテーマが深化する」

受講後に見つけた新たなテーマや、研修を通じて変容した視点なども多く見られ、0→1の創造を全員が達成しました。


DAY4   2025年4月 山崎晴太郎(セイタロウデザイン代表)

講師紹介:行政や地域、企業、ブランド等で“本質を可視化するデザイン”を行い、思想から始まるブランド構築に定評のあるデザインディレクター。

講義テーマ:「余白思考とブランド再設計」

「余白」や「絶対性」をキーワードに、意味を浮かび上がらせるブランド設計について講義。情報の過多ではなく、“伝えすぎない設計”の効用や、他者との比較ではなく、自身の違和感・美意識を出発点とする重要性を語りました。

ワークショップテーマ:「リファインメタルの再ブランディング」

実在企業「リファインメタル社」のブランド再構築をテーマに、存在意義や社会的価値を見直し、ネーミングやタグラインをチームごとに提案。抽象に逃げずに世界観を言葉で立てる手法を体験しました。


DAY5   2025年5月19日 今井裕平(Kenma inc代表)

講師紹介:Kenma inc代表。ヒット商品創出のビジネスデザイナーとして中小企業の事業開発を多数支援。企画の核と実装性の両立を得意とする。

講義テーマ:「社会実装のためのビジネスデザイン」

今井氏が手掛けた事例をもとに、サービスが生まれた背景と「企業の核」を起点としたプロセスを解説。企画が単体で終わらず、組織そのものを変えていく動きを実例を交えて紹介。

ワークショップテーマ:「チーム企画に個性をインストール」

人は「正しいから」ではなく「納得できるから」動くという視点から、ナッジ理論や行動科学をベースに、情報の伝え方に意味を込めたコミュニケーション設計を学びました。


DAY6   2025年6月24日 チーム企画発表

講評者:武部貴則、井上祥、藤山さま(小野薬品 BX室室長)

発表チーム:

 

  • チームA「カラーコミュニケーション」

  • チームB「健康診断と同窓会」

  • チームC「医療ニーズ探検隊」

  • チームD「MRは街のMr concierge」(SML賞受賞)

  • チームE「お薬タイムもワンちゃんと一緒」

 


講評:

武部貴則「医療の領域は今や医療人や健康のアプローチにとどまらず、医療以外の視点がますます重要になっている。その流れは医療業界を超え、多様な業界と連携する動きへと広がっている。今日の企画の中には、近い将来に社会実装される可能性を持つものもあった。皆さんと共に未来の医療をつくることを楽しみにしている。」

井上祥「製薬企業の皆さんが、日常に根ざしたストリート的な視点から企画を生み出した点が非常に良かった。近年の医学会で注目されている健康の社会的決定要因、つまり医療以外の社会的経済的環境的要因が心身に与える影響に即した内容が多く、大変意義のある機会だった。」

藤山さま「皆さん半年間お疲れさまでした。普段の業務とは違った経験が多くあったと思うが、その中で得られた気づきや学びをぜひ今後の業務に活かしてほしい。実現可能な企画も多くあったので、ぜひ次のステップに向けて動き出してほしい。」