荒井梨恵/薬学部生

荒井梨恵/薬学部生

ー ストリートメディカルラボを受講することに決めた理由を教えてください。

私は4年生の薬学部を卒業後、修士過程に進みました。卒業年度には就職せず、現在は薬剤師の資格取得を目指して勉強中です。大学院まで進んだものの卒業年度に卒業・就職をしなかったのは、薬を作ることに対しての自分の熱意や能力が人よりも低いと感じていたためです。

この先の長い社会人生において普通の薬剤師としてずっと働いていくのは、自分のなりたい姿と違うように感じていました。このような思いを抱えながら薬剤師として就職する道を進んでいくことに迷いがありました。

また、以前より自分の人生においてやってみたいことの一つに、「デザイン」がありました。しかし、デザインを仕事にしていくことには覚悟が持てずにいたので、薬学生のうちにダブルスクールでデザインを学ぶことを考えていました。ダブルスクールがしやすそうな社会人スクールを見つけ、相談に行きました。そのスクールが一時ストリートメディカルラボを運営していたことがあり、それがストリートメディカルとの出会いです。

対応してくれたスタッフさんから、今後「医療の知識を持っていてデザインもできる人」が活躍できる場が増えていくため、私のキャリアが強みになるというアドバイスをいただきました。医療をデザインの力でアプローチするというコンセプトが自分のやりたい形と近いと感じ、受講を決意しました。

 ストリートメディカルラボ第5期の授業を受けてみて、どうでしたか?

授業を聞いて、デザイナーの先生方がさまざまな企業や人と関わって仕事をされているということを知り、デザインという仕事の幅広さを感じました。さらに、デザインする力だけでなく、高い思考力が必要な職業なのだと感じました。

特に印象的だった授業は、山﨑晴太郎先生の「余白」 についての講義です。先生は授業の中で、余白とは「顕在化していないこと」「まだ名前がついていないもの」「あいまいなもの」だと話していました。

そして、デザイナーの仕事の一つは、曖昧なものに輪郭をつけ、クライアントの中にあるモヤモヤを整理していくことなのだそうです。個人的にはその状況は居心地が悪く、逃げ出したくなってしまいそうと思いましたが、晴太郎先生はその状況を楽しんで、ウェルカムな態度をとるとお話ししていたので、デザイナーとしての姿勢に関心しました。

また、人間は余白に恐怖を感じる習性があるという話を聞いて、私自身ゼミ発表でスライドを作る際に余白を埋めようとしていたことを思い出し、どきりとしました。余白の大切さを見直し、デザイン視点だけでなく自分の生活にも余白を取り入れたいと思わされたとても印象的な授業でした。

ストリートメディカルトークス(修了発表)を終えて、印象的だったことを教えてください。

当日はとても緊張しましたが、自分たちが考えたアイデアに対して先生方から視野の広いさまざまな意見をいただき、とても勉強になりました。今後実際にアイデアを実現するためのアドバイスもいただき、とても参考になりました。

また、トークス全体を通し、学会発表ほど堅苦しくはないが、学会発表くらいしっかりした実りのある場だと感じました。サイエンス的な側面がありつつもエンターテイメント性もあり、新しい学会のカタチを感じました。

来年からは薬剤師として従事する予定ですが、ストリートメディカルラボで学んだことを活かし、調剤室の顕在化していない課題を発見して、解決するような薬剤師になりたいです。